ディスクシリンダーとは
下記写真のシリンダー。鍵穴がくの字型になっており、キーを差し込む向きは縦向き。写真はシリンダータイプですが、ドアノブタイプでもこちらのキーが存在します。
ディスクシリンダーとは錠前のシリンダーの中の一種。カギを開けるにあたっての開錠構造によって名前がつけられ、内部にディスクタンブラーが組み込まれている種類をディスクシリンダーといいます。一般的にMIWAが開発したシリンダーを指し、このディスクシリンダーの後継モデルとしてMIWAで開発されたのがU9シリンダーになります。こちらのU9シリンダーはロータリーディスクシリンダーという構造になっています。
ディスクシリンダーの欠陥
ディスクシリンダーは2012年現在、MIWAで廃番商品となっていますので生産はすでにおこなっていません。オートロックマンションなどでマスターが組まれている場合でも、同シリンダーへの交換はできなくなっています。唯一2030年9月30日まではスペアキーの複製のみ可能となっています。
メーカーからの発表によりますと、『数多くの製造に伴い鍵違い数の限界を超えたことと、昨今の社会情勢の変化により更に高いセキュリティが求められるようになったことから、廃止または廃止予定とさせていただいております』となっています。シリンダーは生産する際に必ず同じ組み合わせのキーを2つ以上つくらないようにしています。これは自分のキーで他の場所まで開いてしまうということを防ぐためですが、その為にはまずキーの組み合わせ数を生産段階で設計しなくてはなりません。このディスクシリンダーの場合は3500万通りの鍵違い数があり、生産が始まった1970年代には画期的な最先端シリンダーでした。ですが廃止になった理由の1つは3500万通りの鍵違い数を越える生産で防犯性能が保てなくなったということです。
そしてもう一つの理由が構造上の欠陥です。当時最先端だったディスクシリンダーの需要が全国的に広がりましたが、海外からの犯罪者によってピッキングという不正開錠被害が広がり、逆に被害件数も広がってしまいました。
ピッキングとは
ピッキングとは鍵穴にピッキングツールを差込み、強制的に内部のディスクタンブラーを合わせ開錠してしまう技術です。主に
- 痕跡が残りにくい
- 閉めることも可能
- 素人でも少しの練習で習得でき、技術者であれば1分以内での開錠も可能
といった特徴があります。
今後の対策
ディスクシリンダーの開錠技術、開錠工具はすでに広まってしまっています。メーカーもその点は認めており、別のシリンダーへの交換を推奨していますので早急な対策が必要です。対策としては
が最も効果的です。シリンダーを交換するのであればピッキング対策済みの同メーカーU9シリンダーや高防犯性能のディンプルキーへ鍵交換することが望ましい対策になります。